東京都が管理する霊園である都立霊園は、東京都23区内に4箇所・多摩地区に3箇所・千葉県に1箇所、合計して8箇所存在します。
都が運営していることから、立地が良い・信用度が高いなどの特徴を持つだけでなく、比較的手頃な価格が設定されており、東京都民から人気を集めています。
この記事では、都立霊園への申し込み方法や抽選倍率について詳しくまとめました。
都立霊園に申し込みたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
Contents
都立霊園とは?都立霊園を使うメリットとデメリット
都立霊園は文字通り東京都が設置・運営している霊園であり、リーズナブルな料金と優れた立地が特徴的で、多くの方から人気を集めています。
このような理由から、都立霊園は年に一度申し込みを受け付けているものの、毎年高い抽選倍率になるのです。
都立霊園の歴史
明治7年に明治政府が東京都内で遺骨を埋葬できる地域を指定したことが、都立霊園の始まりです。それまで遺骨は、寺院に埋葬されていたのです。
その後、明治から大正にかけて指定地域内に公共墓地が続々と設置されました。小平霊園と八王子霊園は戦後に作られています。
都立霊園を活用するメリット
都立霊園は東京都が運営していることから、永続性という点で安心感があります。
また、他の霊園と比較して比較的手頃な料金で利用可能なだけでなく、宗教・宗派が限定されません。
都市部に位置しながら、広く開放的な雰囲気を感じられるという点も大きなメリットだと言えるでしょう。
都立霊園を活用するデメリット
都立霊園は年に一回しか申し込みを受け付けておらず、多くの方から人気を集めているため、非常に競争率が高いです。申し込みはほぼ毎年抽選になります。
さらに大半の霊園で、生前申し込みを受け付けていません。
希望したからと言って、すぐに都立霊園を使えるようになる可能性は高くないと考えておきましょう。
また、後の章で説明しますが、都立霊園の活用には設定された申し込み資格をクリアする必要があります。
都立霊園の種類と特徴
都立霊園は、東京都23区内に4箇所・多摩地区に3箇所・千葉県に1箇所存在します。
この章では、各霊園の特徴を簡単にまとめました。
青山霊園
港区青山のビル街に存在する非常に人気が高い霊園です。
東京都23区内では最も広い約26ヘクタールもの面積を持ち、桜並木の名所としても知られています。
明治維新の功労者や文学者・芸術家・政治家を含む各界著名人のお墓があり、交通の便も良いです。
【参照】青山霊園
雑司ヶ谷霊園
夏目漱石や東條英機などの著名人・有名人が眠る霊園として知られています。都内に位置しながら落ち着いた雰囲気であり、散策に訪れる方も多いです。
その面積は約10ヘクタールで、南池袋の住宅地の中にあります。
【参照】雑司ヶ谷霊園
谷中霊園
谷中の寺町の中にある静かで明るい雰囲気の霊園です。
桜の名所の一つとして知られており、春には桜のトンネルが広がる景観を楽しめます。
霊園の面積は約10ヘクタールで、園内からはスカイツリーが望めます。
【参照】谷中霊園
染井霊園
本妙寺・慈眼寺と同じ敷地内にある霊園で、広大な石崎家の墓所に隣接しているため落ち着いた雰囲気です。
約7ヘクタールの霊園には、春にソメイヨシノが咲き乱れます。
周辺の交通量が少ないことから、いつも静かな環境が保たれています。
【参照】染井霊園
多摩霊園
日本で最初の公園墓地である多摩霊園は、大正12年に創設されました。
その敷地面積は約128ヘクタールであり、東京ドーム28個分の広さです。
霊園内バスが用意されているため、広大な霊園内の移動にも困りません。
大規模な納骨堂・合葬墓地など、さまざまな形態の墓地が存在します。
【参照】多摩霊園
八王子霊園
都立の自然公園近くにあり、木々や花々に囲まれた美しい公園墓地です。
広々とした雰囲気が特徴的で、霊園から新宿の高層ビル群を眺められます。
全ての墓地が芝生墓地であり、他の霊園にはない開放感があります。
【参照】八王子霊園
小平霊園
西武新宿線の小平駅にあり、総面積の約半分が墓所・残りの半分は草地や樹木になっている緑豊かな霊園です。
霊園自体が駅から近いことから、お参りしやすい環境だと言えるでしょう。
【参照】小平霊園
八柱霊園
東京都ではなく千葉県松戸市に位置する都立霊園であり、東京都民のみでなく千葉県松戸市民の方も利用可能です。
都外であるため比較的使用料が安く、一般埋蔵施設は約35万円〜の価格が設定されています。
その面積は約105ヘクタールで、広大な敷地から美しい景観を楽しめます。
【参照】八柱霊園
都立霊園のお墓の種類
都立霊園には複数の種類があります。
施設ごとに用意されたお墓の種類が異なるため、事前に確認しておきましょう。
一般埋蔵施設
一般的な平面形式の墓地であり、区画で分割されています。
一区画を借り受け、自分で石材店と契約をしてお墓を設置します。区画の広さは一般的に、1.5㎡〜6㎡程度です。
芝生埋蔵施設
一面芝生の平坦地に等間隔で埋蔵施設が配置されています。
納骨室(カロート)は設置されているため、自分で墓石を用意します。
囲い・卒塔婆立て・囲障は設置できません。
多くの場合は景観を統一する目的で、墓碑の大きさに制限が設けられています。
壁型埋蔵施設
墓石が壁のように密接して配置されたタイプの埋蔵施設です。
納骨室(カロート)と墓石は設置済みであり、使用者は家名を墓石に表示します。
長期収蔵施設
ロッカーのような形状の墓所に遺骨を収蔵する施設であり、30年間使用できます。
別途使用料を支払い契約更新することで、より長期間使い続けられます。
立体埋蔵施設
共同埋蔵の方法で、地上の納骨室(カロート)に20年間の永代供養を依頼でき、その後は地下カロートで遺骨を共同埋蔵します。
お墓を継ぐ方がいないご家族でも申し込み可能です。
合葬埋蔵施設
生前申し込みができるお墓であり、永代供養してもらえます。
埋蔵方法は、初めから共同埋蔵をする・使用許可日から20年間個別保管後に共同埋蔵をする2パターンから選択可能です。
お墓を継ぐ方がいないご家族でも申し込みできます。
樹木・樹林合葬埋葬施設
樹林の下に遺骨を直接土に触れる形で埋蔵します。死後は自然に還りたいと考えている方から人気です。
多くの遺骨を共同で埋蔵する共同埋蔵の場合は、生前申し込みが可能です。
お墓を継ぐ方がいないご家族でも申し込みできます。
都立霊園の利用にかかる費用
都立霊園には、比較的リーズナブルな料金で利用できるというメリットもあります。
この章では、都立霊園を利用する際に必要な費用の目安について説明します。
設定されている費用は霊園によって異なるため、正確な金額が知りたいという方は、直接霊園に問い合わせてみましょう。
埋蔵施設の場合
埋蔵施設は一般的なお墓を指し、無期限で貸し出された区画にお墓を設置し続けられます。
埋蔵施設には、一般埋蔵施設・芝生埋蔵施設・壁型埋蔵施設・立体埋蔵施設・合葬埋蔵施設の5種類が存在します。
それぞれの埋蔵施設の永代使用料の目安は、以下を参考にしてください。
埋蔵施設 | 使用料の目安 |
---|---|
一般埋蔵施設 | 100万円〜200万円/1区画 |
壁型埋蔵施設 | 150万円前後/1区画 |
芝生埋蔵施設 | 100万円〜150万円/1区画 |
立体埋蔵施設 | 20万円〜30万円/遺骨1柱 |
合葬埋蔵施設 | 5万円/遺骨1柱 |
また、都立霊園は当選した順番で区画が割り当てられることから、実際に当選するまで必要な費用が分かりません。
広い区画に当選した場合には、必要な費用も高額になるでしょう。
収蔵施設の場合
収蔵施設は期限付きの納骨施設のことで、定められた期間遺骨を保管します。
一般的な保管期間は30年または5年の2通りであり、希望に合わせて更新可能です。
収蔵施設にかかる永代使用料は12万円〜が目安で、その他に管理料がかかります。
都立霊園の申し込み方法と申し込み資格
この章では、都立霊園の申し込み方法と申し込み資格について説明します。
都立霊園の活用を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
都立霊園の申し込みに必要な資格
都立霊園は誰でも利用できるものではなく、厳格な申し込み資格が設定されています。
都立霊園に当選しても、資格が不足する方は失格になってしまうのです。申し込み資格は区分により異なるため、必ず事前に確認してください。
以下は、代表的な申し込み資格の例です。
- 都内に5年以上継続して居住している(または3年/八柱霊園は千葉県松戸市市民も申し込み可能)
- 遺骨に対して祭祀の主催者であること
- 現在守っている遺骨があること(生前申込の場合は省略)
この要件は遺骨の方ではなく都立霊園の申し込みをする方・埋蔵を予定する存命者が対象になります。
都立霊園の申し込み方法
都立霊園の申し込みは、年に1回指定された期間内に実施されます。2025年(令和7年度)の申し込みは6月13日(金)〜7月4日(金)までであり、申し込みのしおりは6月13日から公益社団法人東京都公演協会の公式サイトで公表されます。
電話申し込みは受け付けておらず、上記公式サイトでのインターネット申し込みまたは専用の申込書を印刷した郵送申し込みのどちらかの手段を選択しなければいけません。
郵送申し込みに必要な申込書は、都庁第一・第二本庁舎の案内コーナーや、各都立霊園または都内各市町村などの窓口でも手に入ります。
都立霊園に応募する時に知っておくべき注意点
都立霊園は毎年一世帯1回の申し込みしかできません。
万が一、同一世帯で複数の申し込みがあった時には、全ての申し込みが無効化されます。
さらに、ルールに従っている場合でも提出書類に不備があると、応募自体が失格になってしまうのです。
都立霊園の申し込みをする際には、書類の内容に誤りがないか十分確認してください。
また、都立霊園に当選した方が3年以内に申し込み済みの遺骨を埋蔵・収蔵しない時には、使用許可が取り消され、使用料や管理料の払い戻しは受けられません。
都立霊園の申し込みスケジュール
都立霊園の申し込み後のスケジュールは、以下を参考にしてください。
毎年多少スケジュールが変更されますが、大まかな流れは変わりません。
1.募集開始・申し込み(6月下旬〜7月上旬)
都立霊園の募集が開始したら、インターネットまたは郵送で申し込みを済ませます。
疑問点がある場合には、問い合わせをして申し込みに誤りがないようにしてください。
2.受付番号通知・公開抽選(8月上旬〜8月下旬)
有効な申し込みに対して受付番号が通知されます。
その後、8月下旬に都庁で公開抽選会が行われ、抽選結果が公式サイトで公表されます。抽選会の様子はYouTubeで視聴可能です。
受付番号を取得した方には、9月上旬頃に抽選結果が届きます。
3.書類提出・資格審査(9月下旬〜10月上旬)
当選した方は指定された日時までに、必要書類を用意して資格審査を受けます。
合葬埋蔵施設の場合は、郵送による書類審査が行われます。
4.支払い・使用許可証交付(11月上旬〜12月上旬)
資格審査を通過した後に届く納入通知書を活用して、使用料と管理料を支払います。
期限までに納入がない場合は、使用許可を辞退したものとみなされるため注意してください。
支払いの確認がとれた後に、使用許可証が交付されます。
5.お墓を建てる
一般埋蔵施設が当選した場合には、自分でお墓を建てます。
都立霊園には指定の石材店がないため、自由に業者を選んで建墓を依頼してください。
当選した霊園に詳しい石材店であれば、お墓のメンテナンスも安心して任せられるでしょう。
都立霊園の抽選倍率とは?
都立霊園は毎年多くの申し込みが殺到しており、抽選倍率が高いです。
申し込みをする霊園や種別により異なりますが、2024年には49倍以上の倍率になった区分も存在します。
2024年(令和6年度)の都立霊園抽選結果発表は公式サイトで公表されているため、参考にしてください。
また、2024年の公募受付数は28,108で、一般埋蔵施設は3.6倍・合葬埋蔵施設は7.1倍・樹木型合葬埋蔵施設は3.0倍という結果が発表されています。
今後も都立霊園の抽選倍率は、高い状態が続くでしょう。
まとめ
都立霊園は東京都が管理・運営している霊園であり、利便性の高さと手頃な料金で利用できるというメリットから、毎年多くの方が申し込みをしています。
申し込み可能な時期は限られておりクリアするべき申し込み資格もあるため、事前に内容を確認した上で申し込みを検討しましょう。
都立霊園の抽選倍率は高いですが、運が良ければ希望通りの区画を手に入れられる可能性があります。
この記事を参考に、都立霊園の申し込み方法を確かめておいてください。